消費税コンサルティング | 売上と仕入の状況を精査し最適な消費税申告をご支援します。

現時点で「消費税を納める必要が無い方」も、ぜひご覧ください。

 現在、農業経営者の皆様の中には、消費税を納めている方と、納める必要のない方がいると思います。ここでいう「消費税を納めている方」とは、正確に言うと「農作物などを販売したときに買い手(消費者)から預かった消費税を、実際に国などへ納めている方」のことです。まずは、下の図で、消費税の基本的な仕組みをもう一度、ご確認いただければと思います。


消費税の仕組み

【図】消費税の仕組み

 この図は消費税の仕組みを単純化したものです。農業者の方が、仮に消費者に直接300円で農作物を販売した場合、消費者からは24円(8%)の消費税を受け取り(預かり)ます。
 農業者は、この24円を全て納めるわけではなく、肥料を買うときに支払った消費税、つまり、農作物を作るための仕入に対する消費税分(図では16円)を差し引いて、国などに納めます。
 この図の場合、消費者が支払った消費税24円のうち、農業者は8円分だけ納めていますが、残りの16円分は、農業者が消費税を支払った肥料業者と、その肥料業者が消費税を支払った原料業者が、それぞれ相手から受け取った消費税を国などに納めることになります。



基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は納税が不要

 上の図は、消費税を納めている農業経営者の例ですが、基準期間(2年前)での課税売上高(※1)が1,000万円以下の事業者には、この納税義務がありません。


※1 課税売上高とは、消費税が課税される範囲の売上高のことです。農家の場合、実際の収入には国や都道府県からの補助金や助成金などがありますが、これらは消費税のかかる売上高とはなりません。


課税事業者と免税事業者の判定基準

【図】課税事業者と免税事業者の判定基準

基準期間の売上高が1,000万円以下の事業者でも手続きをすれば、課税事業者になることができます。先々の見込みによっては、課税事業者となることを選択する方が良い場合もあります。



還ってくる消費税

 消費税の基本的な仕組みは、以上の通りですが、実際、納税する際は、個々の取引について、納税額を算出するわけではありません。1年間の売上に対する消費税と、仕入等に対する消費税の合計をそれぞれ計算し、前者から後者を差し引いた分が、国などに納める税額となります。


実際に納める消費税の計算方法(原則課税方式)

【図】実際に納める消費税の計算方法(原則課税方式)

 農家の場合、仕入には、肥料や種苗、農薬といったものだけでなく、農業用に買った機械や自動車、ハウス、建物なども含まれます。さらに、それらの修理代や燃料代、光熱費など、生産に関わるほぼ全てのものが含まれるといえます。しかし、このうち、機械や自動車などは、肥料などとは違い、1年単位で使い切るものではありません。
 このため、場合によっては、その年の売上に対する消費税よりも、仕入等に対する消費税が大きくなる場合(国などに納める消費税がマイナスになる場合)があります。


実際に納める消費税がマイナスとなる主なケース

【図】実際に納める消費税がマイナスとなるケース

 原則、この差額分は、納税者に還付されます。しかし、条件によっては、還付されない場合があるため注意が必要です。


マイナスとなった消費税が還付されない主なケース

  • 1.基準期間の課税売上高が1,000万円以下で、納税義務の無い場合

     このケースでは、元々、「1年間の売上に対する消費税」を納税する義務が無いため、「支払った消費税」の還付も受けられません。このため、納税義務の無い事業者であっても、先々に多額の設備投資などが見込まれている場合(支払う消費税が多くなる場合)には、課税事業者となることを選択していた方が良いといえます。

  • 2.消費税の計算方法で「簡易課税方式」を選択している場合

     簡易課税方式とは、「売上に対する消費税」だけを計算し、その金額にみなし仕入率を掛けた額を「仕入等に対する消費税」とする計算方法です。農業の場合、みなし仕入率は70%と決められているため、例えば、売上に対する消費税が100万円であれば、仕入等に対する消費税は自動的に70万円とみなされます(納税額は100万円−70万円=30万円)。
     この計算方法では、「売上に対する消費税」より「仕入等に対する消費税」が大きくなることはあり得ない(みなし仕入率は100%を超えない)ため、還付も発生しません。
     簡易課税方式は、文字通り「簡易」であり、中小事業者の事務負担などを軽減する目的で導入された制度です。基準期間(2年前)の課税売上高が5,000万円以下であれば、この方式を選ぶことができますが、農家の場合、現実の課税仕入額が売上の70%を超えるような場合は、原則課税方式(※2)を選択した方が得となります。

※2 1年間の売上に対する消費税と仕入等に対する消費税の合計をそれぞれ計算し前者から後者を差し引く方法



消費税について、農業経営者の皆様が注意すべきこと

現在、消費税を納めている農業経営者の皆様

  • ・ 将来の事業計画や売上と仕入、設備投資の見込みなどを考慮し、適切な計算方法・経理方法等を選択する必要があります。
  • ・ 申告期限までに、選択した計算方法・経理方法で納税額を算出し、申告書等を作成する必要があります。
  • ・ 消費税は、原則、一括納税となるため資金を確保しておく必要があります。
  • ・ 免税事業者に戻る場合や簡易課税方式をやめようとするときなど、経営状況の変化に応じて、期限までに各種手続きを行う必要があります。

現時点で、消費税を納める必要のない農業経営者の皆様

  • ・ 将来の事業計画や売上と仕入、設備投資バランスなどを見込みながら、状況によっては、課税事業者となることを選択した方が得なケースがあります。
  • ・ 課税事業者になることを選択する場合は、期限までに各種手続きを行う必要があります。
  • ・ 納税義務の無い状態で、課税事業者を選択した場合は、課税事業者となった日から2年間は免税事業者に戻ることができません。


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 また、消費税のみに関して、売上や仕入の状況を精査し、最適な申告をご提案させていただくことも可能です。ぜひ当会のノウハウをご活用ください。


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